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I.S.U クラシック 2012年

レポート


Surfing for all がんばろう日本!
JPSA 震災復興支援チャリティーツアー2013 ショートボード第5戦
第18回 I.S.U茨城サーフィンクラシック
SCP さわかみ杯

 9月6日(金)から8日(日)までの3日間に渡り、大洗町大洗海岸において第18回I.S.U茨城サーフィンクラシックSCPさわかみ杯が開催された。今年で18回目を迎えたこの大会は、ジャパンプロサーフィンツアー史上において最も長く継続している大会となっている。
  前日までのスモールウエーブ・コンディションで大会開催が危ぶまれたが、大会当日になるとオンショアではあるが、セットでオーバーヘッド程度のうねりが押し寄せ大会関係者を安堵させた。大会を通してオンショアの風が吹き、多少波のサイズは落ちたものの、大会終了時まで選手達のパフォーマンスには影響を及ぼすことは無かった。大会初日が曇り、2日目が曇り時々晴れ、最終日が曇りのち雨、と秋晴れにはほど遠い天候であったが夥しいギャラリーが来場し例年のごとく大会会場はおおいに盛り上がっていた。
  地元茨城勢は、ベテラン小野嘉夫が5位、高梨直人が13位と健闘したが他の選手は実力を発揮できず、惜しくも途中敗退してしまった。すでに今年度のツアーグランドチャンピオンを早々と決めている大野修聖だが、サーフィン関係者やギャラリーの間では、この大会で彼のツアー5連覇成るかに関心が高まっていた。ラウンド1から登場した大野は、周囲からの雑念を払いのけるかのようなサーフィンで、危なげなくファイナルまで勝ち進んで行った。しかし、彼にとってこの大会のファイナルヒートは、5連覇達成の最大の鬼門となったようだ。対戦相手の17歳の仲村拓久未は絶好調だった。ヒート前半、ハイスコアーを得てリードする展開となった大野が試合の指導権を完全に握ったかと思えた。しかし、直後、仲村は良い波を捉えハイスコアーをメークし大野を逆転した。その後、共に決定的なライディングが無いままヒート終了間際まで時間は流れた。仲村リードのまま試合終了かと誰もが思ったに違いない。大野5連覇ならずとも取れるギャラリーのため息さえ聞こえる中、大野が一本の波にテークオフした。バックサイドで連続した豪快なリップアクションを見せつけるようにジャッジ、ギャラリーに披露した。大野はマキシマムいっぱいの12本目のライディングだった。仲村とは7,26ポイント差。大野は波打ち際に立ちスコアーコールをじっと待っている。短い時間が流れ、やがてスコアーがコールされ大野が両腕を上げて歓喜する。7,60ポイント。劇的な逆転勝利だ。今年無敗の5連覇達成の瞬間だ。大野の計り知れない精神力を感じた。
  女子のファイナリストは、庵原美穂と野呂玲花。降雨の中、ヒート開始早々から激しい戦いが展開された。ライトにブレークする波を丹念に攻める庵原に対し、どちらかというとレフトにブレークする波を果敢に攻める野呂といった戦いとなった。波のサイズは腰から胸。それほど良い波とも思えない平凡な波でも的確にスコアーメークする庵原に対し、果敢に攻めすぎてワイプアウトが目立ってしまった野呂。庵原が終始リードする試合展開でヒートが終了した。庵原は新島で行われた前大会に続き2連覇を飾った。
  男女のファイナルヒートの前に行われたこの大会恒例のエクスプレッション・セッションではトッププロがアグレッシブなライディングを披露してギャラリーを魅了した。このセッションで勝利して賞金を得るには、やはり人一倍に宙を舞うことだろう。出場選手の中で最も高く長く宙を舞った者としてベスト・パフォーマーに選ばれたのは椎葉 順、そしてベスト・パフォーマーには及ばなかった者の2番手としてグッド・パフォーマーには加藤 嵐が選ばれ共に賞金を手にした。

3日間に及んだ選手達の壮絶な戦いは終わった。男子トッププロの高度なテクニックに目を奪われ、また著しく進化した女子トッププロのスキルに驚嘆した素晴らしい3日間だった。国内のトッププロが勢揃いし、国内最高のこれほどのサーフィンを地元の大洗海岸で見られることはサーフィンファンとして最大限の喜びである。このように感じている者は私だけでは無く、この大会を観戦に来た大勢の人達も同じ思いを寄せていることだろう。この大会は今年で18回目となったが、来年の19回目も大勢の人達が今から心待ちにしているに違いない。この大会が末長く継続し、大勢の人達に喜びを与え、同時にサーフィンがこの地に文化として根付くことを期待したい。

(写真・レポート 石毛正昭)

順位表

ファイナリスト男子
RANK NAME  
優勝 大野修聖  
2位 仲村拓久未  
3位 田中英義
加藤 嵐
 
ファイナリスト女子
RANK    
優勝 庵原美穂  
2位 野呂玲花  
3位 田原啓江
大村奈央
 
エクスプレション・セション
  NAME  
ベストパフォーマー 椎葉 順  
グッドパフォーマー 加藤 嵐